10月18日、19日に河津町の川津来宮神社で秋の例大祭が行われた。地元田中地区約180戸(人口約480名》あまりの内、一戸一名が集結、村人総出で”山岡鉄周”の書いた大幟旗(長さ約20m)を立てる。祭りの指揮は氏子総代がとることが通常だが、極小さな集落のため昔から地区の指揮で準備・片づけが行われる。よって、地区が班(組合)ごとに役割分担され、旗立て・提灯張り・宴会などの当番班が決まり施行される。中でも重要な役割にあたった班はミスの無いように神経をすり減らし、特に高齢者や女性の班長はベテランに怒鳴られることもあり、しばしトラブルも起きる。これも田舎の鎮守の祭りに付きものであり、執行の改革を望むものと伝統を守ろうとするものの衝突はやむを得ないことのように感じる。
祭典の催しものの一つに「どぶろく開き」がある。この川津来宮神社に平安時代から伝わる民話”鳥精進・酒精進”に登場する氏神様が、神官の造ったどぶろく(税務署許可済)を振る舞う寸劇である。樹齢1000年を超える大楠の前の特設舞台で、氏神様に扮した氏子が「大楠やうまい酒ができたぞ!」「みなの者、笑って、仲よく、楽しく酒を飲もう!」と訴え振る舞った。
また、この舞台で地域の子供たちの太鼓演奏も行われた。演奏終了後に2歳児から高校生まで総勢30名余りひとり一人が紹介された。
「1年生の〇〇さんは、△△さんとこのお孫さんで、おねえ~ちゃんは小学4年生で一緒に頑張りました!」などと紹介された。田舎らしい。応援には親戚も集まり、「☆☆さんち孫より〇〇さんちの子の方がうまかったな~!」なんてどぶろくを飲みながらそれぞれの孫たちの自慢話をなどが飛び交う。何とも微笑ましい光景である。
今年の祭りは例年になく天候に恵まれ、最高の祭典が行われた。その一方で執行の難しさを感じ受けることにもなった。
”自分に厳しい人は、人にも厳しくなってしまう。自分に甘い人は人に甘えさせることができる。”先日立ち寄った書店で見つけた本に書いてあった。
私自身反省を余儀なくされた祭典となった。